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「心拍数を脂肪燃焼ゾーンに保てば痩せる」——この言葉を一度は聞いたことがあるはずです。しかし実際のところ、脂肪が燃えやすい心拍域はどこなのか、FEELCYCLEのような高強度クラスはどのゾーンに当たるのか、正確に把握している人は意外と少ない。
この記事では、心拍ゾーンの基礎知識を科学的事実に基づいて整理し、FEELCYCLE(BB1・BB2)への具体的な応用方法まで一気に解説します。まず結論から言うと——「脂肪燃焼ゾーンが最も痩せる」は半分正解・半分誤解。その理由も含めて詳しく見ていきます。
※ 持病のある方や心疾患が気になる方は、運動強度を変える前に必ず医師にご相談ください。
最大心拍数はどう求める?——220-年齢とカルボーネン法
心拍ゾーンを語る前に、基準値となる最大心拍数(HRmax)を把握する必要があります。
220 − 年齢(推定式)
最もシンプルな推定式です。たとえば35歳なら HRmax = 185 bpm。ただしこれは集団平均から導いた近似値であり、個人差が±10〜20 bpm ほど生じることが知られています。「だいたいの目安」として使う分には十分ですが、精緻なトレーニング設計には不向きです。
カルボーネン法(より正確な強度設定)
カルボーネン法(Karvonen Formula)は、安静時心拍数(HRrest)を加味することで、個人の心肺予備能に合わせた強度計算ができます。
目標心拍数 = HRrest +(HRmax − HRrest)× 目標強度%
例:HRmax 185 bpm、安静時 55 bpm の人が「強度60%」で運動する場合
目標心拍数 = 55 +(185 − 55)× 0.60 = 55 + 78 = 133 bpm
安静時心拍数が低いアスリートほど、同じ「60%強度」でも絶対値(bpm)が変わります。体力レベルが上がるほど計算し直すことが推奨されます。
心拍ゾーンの5段階——それぞれ何が起きている?
心拍ゾーンは一般的に HRmax に対するパーセンテージで5段階に区切られます。以下の表は代表的な定義です(研究機関・機器メーカーによって若干の差異あり)。
| ゾーン | HRmax比 | 主なエネルギー源 | 体感強度 | 主な目的 |
|---|---|---|---|---|
| Z1(ウォームアップ) | 50〜60% | 脂肪(高割合) | 楽に会話できる | 回復・ウォームアップ |
| Z2(脂肪燃焼) | 60〜70% | 脂肪(主体)+糖質 | 会話できる | 有酸素基礎・脂肪代謝向上 |
| Z3(有酸素) | 70〜80% | 脂肪+糖質(混合) | ゆっくり会話できる | 心肺機能向上・持久力 |
| Z4(無酸素閾値付近) | 80〜90% | 糖質(主体) | 短文しか話せない | スピード・パフォーマンス向上 |
| Z5(最大強度) | 90〜100% | 糖質(ほぼ全量) | 話せない | 最大出力・インターバル |
ポイントは「脂肪燃焼の割合」と「総消費カロリー」は別物だという点。Z2では脂肪由来のエネルギー比率が高い一方、Z4・Z5では総消費量そのものが大きく増えます。この違いが「誤解」の根本にあります。
「脂肪燃焼ゾーンが一番痩せる」は本当か?
この命題を整理するには、①運動中の脂肪燃焼量と②運動後の追加消費(EPOC)の2軸で考える必要があります。
脂肪燃焼ゾーンが有利な点
- エネルギーに占める脂肪の割合が高い(Z2帯で最大55〜65%程度)
- 長時間持続できるため、セッション全体の脂肪絶対量が積み上がりやすい
- 関節・筋肉への負担が低く、毎日続けやすい
高強度が有利な点
- 単位時間あたりの総消費カロリーが大幅に増える
- EPOC(運動後過剰酸素消費):高強度運動後は安静時の代謝が数時間〜最大24時間程度高い状態が続き、追加で脂肪が消費される
- 筋肉量の維持・増加により基礎代謝が上がる
結論:絶対的なカロリー収支で見ると、高強度トレーニングの総消費量+EPOCは脂肪燃焼ゾーン単独を上回ることが多い。ただし「高強度を毎日できるか」という継続性の問題もある。目的・体力・スケジュールに合わせてゾーンを使い分けることが現実的な答えです。
FEELCYCLEのBB1・BB2はどのゾーンに当たる?
FEELCYCLEはバイクを使った暗室での音楽同期型HIITクラス。BB1(ビギナー〜ミドル)とBB2(ミドル〜アドバンス)では要求される出力が異なります。
BB1の心拍域
BB1は曲ごとに負荷が変わるインターバル構成。ウォームアップ曲ではZ2〜Z3(60〜75%)に収まりますが、ピーク曲やダブルタイム(倍テンポ)セクションではZ4(80〜90%)前後まで上昇します。45分クラス全体の平均でみるとZ3〜Z4境界付近に落ち着くことが多いと言われます。ただし個人の体力差・ポジション選択・ギア設定によって変動します。
BB2の心拍域
BB2はBB1より高BPM・高出力の構成。強度の高い曲ではZ4〜Z5(85〜100%)に到達することが珍しくありません。実際のデータとしては——
参考までに、筆者が1年間Huaweiスマートウォッチで計測したFEELCYCLEのBB1とBB2の実測心拍値は以下のとおりです(53レッスンの平均、Keytel式算出)。
- BB1(25回平均):平均HR 138bpm(%HRmax 76%)/最大HR平均 180bpm → 有酸素〜閾値ゾーン下限の強度
- BB2(28回平均):平均HR 150bpm(%HRmax 83%)/最大HR平均 187bpm → 閾値〜無酸素ゾーンを行き来する強度
- 自己最高心拍:194bpm(2026/01/10 BB2 10s3)→ ほぼ %HRmaxの上限に到達
つまりBB1は「脂肪燃焼ゾーンを超えて閾値手前まで上げ続ける」設計、BB2は「無酸素〜最大ゾーンに何度も到達する」設計です。実測の詳細は BB1 vs BB2 実測比較記事 に1年53レッスン分の数字でまとめています。
BB2での高心拍領域はまさにEPOCを引き出す強度帯。「45分クラスが終わってからも代謝が高い状態が続く」という実感は、このメカニズムで説明できます。詳細は消費カロリー実測データの記事を参照してください。
→ BB2クラスの実測データ(心拍・消費カロリー分析)を読む
また、FEELCYCLEの「ダブルタイム」という特殊構成が心拍にどう影響するかは別記事で詳細に分析しています。
目的別——どのゾーンで何を鍛える?
体脂肪を落としたい
Z2(長時間・毎日できる)とZ4〜Z5(週2〜3回・EPOC狙い)を組み合わせるのが最も効率的。FEELCYCLEであればBB1を「回復日」、BB2を「刺激日」として使い分けると合理的です。
心肺機能・持久力を上げたい
Z3(70〜80%)を20〜40分継続することが有酸素能力向上に有効とされています。FEELCYCLEのBB1中盤〜後半の流れる曲群はこのゾーンに対応しやすい構成です。
パフォーマンスを伸ばしたい(アスリート志向)
Z4(無酸素閾値付近)のインターバルトレーニングが最も効果的。LT(乳酸閾値)を引き上げることで「より高い心拍域でも楽に動ける」状態を作ります。BB2の高BPM曲はこの刺激として機能します。
自分の心拍ゾーンを知るには——計測が前提
どれほど理論を理解していても、自分の心拍数をリアルタイムで把握できなければゾーントレーニングは成立しません。FEELCYCLEの暗室・高温環境でも正確に計測できるデバイス選びが重要になります。
主な計測手段としては以下があります。
- 光学式スマートウォッチ(手首型):日常使いしやすく手軽。ただし高強度・振動の多い運動では精度が落ちやすいモデルも存在する
- 胸部ハートレートモニター(ベルト型):心電図方式で最も精度が高い。FEELCYCLEの激しい動作でもズレにくい
- 光学式アームバンド型:胸ベルトより装着感が楽で、手首型より精度が安定しやすい中間的な選択肢
FEELCYCLEでの実使用に耐えるスマートウォッチの選び方・比較については、別記事で詳しくまとめています。
まとめ——心拍ゾーンとFEELCYCLEの活用戦略
- 最大心拍数は「220-年齢」で推定、より精緻な設計にはカルボーネン法(安静時心拍数を考慮)を使う
- 心拍ゾーンは5段階。Z2が「脂肪燃焼ゾーン」だが、総消費カロリー+EPOCではZ4〜Z5の高強度が上回ることが多い
- 「脂肪燃焼ゾーンが最も痩せる」は誤解ではないが不完全。目的・体力・継続性でゾーンを使い分けるのが正解
- FEELCYCLEのBB1はZ3〜Z4付近、BB2はZ4〜Z5に達する高強度クラス。EPOCを意識した活用が有効
- 理論を活かすには自分の心拍データの計測が前提。デバイス選びに投資する価値がある
心拍数という数字一つで、同じFEELCYCLEクラスの「使い方」が変わります。まずは自分のゾーンを計測してみることから始めてみてください。



